大阪まで来た。でも、金がない。
前回、名古屋までの予定だったはずが、結局そもそもの目的地だった京都まで来てしまった二人。
清水寺も楽しんだ。
八つ橋の試食もたっぷり楽しんだ。
名古屋と京都でお土産も買った。
さすがに、そろそろ帰るところです。
でも、カーナビを見ていてふと思います。
「あれ?大阪、近くね?」
ここまで走ってきた距離を考えたら、大阪までの距離なんて大したことないように見えました。
だったら――
「ここまで来たんだし、大阪も行っちゃう?」
もう完全に勢いです。
というわけで――
そのまま大阪へ向かいます。
大阪到着。そして残金確認
ついに大阪まで来てしまいました。
名古屋で遊び、京都で遊び、お土産も買っています。
さすがに財布の中身が気になって、ここで二人の残金を確認。
計算してみると――
ほぼ帰りのガソリン代しかない。
高速代すらありません。
これはマズい。
さすがに二人とも、それは分かります。
でも、大阪まで来た。
そしてUSJがある。
「金ないけど、せめてUSJくらい見に行きたい。」
ということで出した結論が、
「じゃあUSJは駐車場までだな。」
でした。
今考えると、この時点でまず帰り方を考えろよと思います。
でも、行きました。
大阪の車線変更が怖い
大阪の街を走る時、妙に覚えていることがあります。
当時、自分の周りでは、
「大阪で車線変更しようとしても、なかなか入れてもらえない」
みたいな噂がありました。
本当かどうかなんて知りません。
でも若かった自分はそれを聞いていたので、
「大阪の道、大丈夫かな……」
と、妙にドキドキしながら運転していた記憶があります。
実際どうだったかは、もう覚えていません。
ただ、やたら緊張しながら走っていたことだけは覚えています。
大阪の皆さん、ごめんなさい。
名古屋城に続いて、USJも遠くから
そしてUSJへ。
もちろん、入場するお金はありません。
それは行く前から分かっています。
でも、せっかく大阪まで来たんだから、せめて雰囲気だけでも味わいたい。
ということで、駐車場まで行きました。
中をちょっと眺めながら、駐車場をぐるっと回って――
そのまま出る。
ここで思い出します。
名古屋では、
名古屋城まで行ったのに、正月休みで遠くから眺めただけ。
そして大阪では、
USJまで行ったのに、お金がなくて遠くから眺めただけ。
……何をやってるんでしょうね。
でも、こういうしょうもない出来事ほど、なぜか今でも覚えています。
「おお、グリコだ!」
その後は道頓堀へ。
そこで見たのが、あのグリコの看板。
テレビでは何度も見たことがありました。
でも、実際に目の前で見ると、
「おお!グリコだ!」
と、結構感動したのを覚えています。
今思えば、こういうのも旅の楽しさなのかもしれません。
テレビでしか見たことがなかったものが、本当に目の前にある。
それだけでも、なんだか嬉しい。
そして大阪まで来たからには、もう一つ。
たこ焼きが食べたい。
二人で一舟のたこ焼き
ただし、金はありません。
残しておかなければならないガソリン代を考えると、使えるお金なんて本当にわずか。
それでも大阪まで来たんだからと、
たこ焼きを一舟だけ買いました。
それを二人で食べます。
どこのお店だったのかは、もう覚えていません。
たしか道頓堀近くのパチンコ屋の前にあったベンチで食べたような記憶があります。
そして、そのパチンコ屋を見ながら――
一瞬だけ頭をよぎりました。
「……ここで一勝負すれば、増えるんじゃね?」
高速代すらないのに。
今考えると、とんでもない発想です。
幸い、友達はパチンコをやらない人でした。
なので思いとどまりました。
本当にやらなくてよかった。
そして二人で食べた、一舟のたこ焼き。
店の名前は覚えていません。
でも――
まあ、美味かった。
二人で一舟しか食べられなかったからなのか。
大阪まで来たという雰囲気込みだったのか。
理由は分かりません。
でも、あの時たこ焼きを食べたことは今でも覚えています。
これも自分にとっては、立派な旅飯です。
問題は、どうやって帰るか
大阪まで来た。
USJも一応見た。
グリコも見た。
たこ焼きも食べた。
満足です。
しかし、現実に戻ります。
帰りの高速代がない。
これは大阪で残金を確認した時点ですでに分かっていました。
残っているのは、ほぼガソリン代だけ。
そこで二人が考えていた作戦が、
「地元近くのサービスエリアまで行って、姉にお金を持ってきてもらおう。」
でした。
今思えば、姉の了承すら取っていません。
でも当時の二人は、
これで帰れる。
くらいに思っていた気がします。
そしてガソリン残量を気にしながら、なんとか地元近くのサービスエリアまで到着。
あとは姉に来てもらえばいい。
電話します。
事情を説明します。
「高速代がないから、お金持ってきてくれない?」
そして返ってきた答えが――
「めんどくさいから嫌。」
……。
姉ちゃん。
弟、帰れません。
最後の希望、謎のクレジットカード
完全に作戦が崩壊しました。
地元はもうすぐそこ。
なのに、高速道路から出るお金がない。
どうする。
二人で困っていたところで、友達が思い出します。
「そういえば、クレジットカード持ってる。」
いつ作ったのか。
ちゃんと使えるのか。
本人もよく分かっていない。
そんなカードでした。
でも、もう他に手はありません。
とりあえず料金所まで行って出してみよう。
もし使えなかったら――
もう警察を呼んでもらって、正直に事情を話そう。
そこまで覚悟して料金所へ向かいます。
そして恐る恐るクレジットカードを出す。
結果――
使えました。
無事、料金所脱出。
長かった無計画ドライブが、ようやく終わりました。
予定外ばかりだった。でも、それが楽しかった。
改めて振り返ってみると、本当にアホな旅だったと思います。
そもそも京都へ行きたかったのに、遠いからと目的地を名古屋に変更。
名古屋城へ行ったら正月休み。
それならと、結局京都へ。
カーナビを見たら大阪が近く感じて、そのまま大阪へ。
名古屋城は遠くから眺めただけ。
USJも遠くから眺めただけ。
残金はほぼガソリン代だけ。
たこ焼きは二人で一舟。
一瞬パチンコで一発逆転が頭をよぎり、
最後は高速代がなくて姉を頼ったら断られ、
使えるかも分からないクレジットカードにすべてを託す。
計画通りだったことなんて、ほとんどありません。
でも――
めちゃくちゃ楽しかった。
そして、この旅があったからだと思います。
自分の中で、
「行きたいと思ったところには、案外行ける。」
という感覚ができました。
旅行というと、
日程を決めて、予算を決めて、交通手段を決めて、宿を決めて、目的を決めて。
ちゃんと準備してから行くものというイメージがあります。
もちろん、それも楽しい。
でも自分の場合は、
行きたかったら、とりあえず行ってみればいい。
行ってみれば、案外なんとかなる。
予定外のことが起きても、それはそれで面白い。
むしろ後になって覚えているのは、そんなハプニングだったりします。
たぶん、この無計画な正月ドライブが――
自分が旅を好きになった原点です。
🟢 息子のひとつまみ
この旅以来、
「行きたいなら、行っちゃえばいい。」
そんな感覚が自分の中にできた気がします。
そして、その後も思いつきでいろいろなところへ行くようになりました。
その中のひとつ。
ある日、
山形へ、だだちゃ豆を買いに行きました。
気がついたら函館にいました。
……なぜそうなった。
その話は、また今度。


